疑似ステレオ,matsumo,matsumo2,matsumoto,matumoto
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昔の録音の擬似ステレオ化
初回:1998. 8.30
SP復刻盤LP・モノラルLP・SP及びモノラルLP復刻盤CD等のステレオ化
私は昔の演奏家の録音が好きですが,その手の録音,例えば,トスカニーニやワルターのモノラル録音って,結構,聞きにくいものがありますが,そういう場合の対応についてです。
ステレオ録音のLPが発売されるようになり,モノラル録音が商品価値が無くなるとの危機感から,一時期,モノラル録音を擬似的にステレオ化して発売されるものが結構出てきました。しかしながら,家庭内でステレオ化を行う場合によく行われたのは,左右の音の周波数特性を変える(たとえば右は低音を多めにし,高音を抑え,左は逆にする)という方法でした。すなわち、1940年位から,指揮者が楽員に指示を出しやすい,ステレオ的な効果が出るという理由でオーケストラの楽器配置が変えてしまったので(それ以前は,指揮者の左に第1バイオリン,右に第2バイオリン,チェロ・コントラバス等は中央左といった配置が多かったのですが,1940年以降は指揮者の左に第1・2バイオリン,右にチェロ・コントラバスという配置になりました。しかしながら,最近はまた,古い形態に戻りつつあります。なお,古い形態は例えばトスカニーニのLD等で見ることができます),そのような方法でやればかなりのステレオ感は出ました。しかしながら,ワルターとか,トスカニーニの古い録音はオーケストラの配置が前述のごとくですので,その方法は実際とは異なるものでした。
擬似ステレオ化の方法として大きく分けて2種類あります。
a.グラフィックイコライザーで左右に音を振り分ける方法
b.位相をいじって,響きを豊かにする方法
このbによる擬似ステレオ化されたCDは現在でもフルトベングラー指揮のものが「ブライトクランク方式」とか称して発売されています。 bの方法は,例えばコンサートホールにてオーケストラの演奏を聴いた場合,楽器の定位感はほとんどなく,響きが豊かに聞こえるだけという原理によるものです(勿論,指揮者の位置や座席の前の方で聴けば定位感はありますが,私の好きな東京文化会館大ホール2F中央あたりの席では目をつぶって聴けば定位感はほとんどといってよいほど感じられません)。なお,aでは楽器が定位することによりステレオ感が,bでは音がフンワカすることにより聞きやすくなるのだと思います。
さて,私の場合のステレオ化はbの方法でトスカニーニとワルターの録音を擬似ステレオ化しようというものです。
まずは,トスカニーニの戦後のモノラル録音ですが,LP時代のものはテープに録音されたものをLP化する際に盛大に音の補正が行われていたらしく音が非常に固いものが多かったのですが,最近のCDは元のテープに戻ってそれをデジタル化したのだそうで,以前よりましになったと思います。しかしながら,それでも,最近の録音と比較すればかなり音の質は悪いので,私は音の補正とステレオ化を行って聴きやすくしております。
使用する機械としては,
(1)グラフィック・イコライザー:GEK-100[AMDEK]
(2)アナログ・ディレイ:GEK-100[AMDEK]
(3)コーラス:CMK-100[AMDEK]
で,いずれもシンセサイザー用のアナログ・エフェクターです。上記3つはいずれもキットで自分で組み立てたものですが,BOSSとか他の会社から同じようなものが発売されていますので,ご興味がある方はそちらをお使いになればよいと思います。勿論,現在はデジタルのものも出ていますので,そちらを使うという手もあうと思います。なお,現在は AMDEKという会社はなくなっていると思いますので,上記の入手はほぼ不可能だと思います。
さて,CDプレーヤーの出力を上記 (1)に入力し(右か左の片方でよい),そして(1)の出力を(2)につなげ,その出力を(3)へつなげ,そして, (3)にてステレオ化されるので,それをカセットデッキにつなげて録音します。もっとも,MDレコーダーを持っていればそちらの方がヒスノイズが少ない分だけよいと思います。
なお, (1)では64,125,8000,16000MHzあたりを強調するようにしておきますが,これもカセットテープに録音されたものを再生しながら,カット・アンド・トライでどの程度強調するか決めます。 (2)も同様で,ディレィの時間や強さを決めます。
気をつけなければならないことは効果をあまり強調しないことです。あまり,強調すると不自然な感じがするようになりますので,薄化粧程度にすることです。私はこれにより,「ムソルグスキー:展覧会の絵」や「ベルディ:レクイエム」等をステレオ化しましたが,すごい迫力になり,また,聴きやすくなりました。
また,ワルターのものですが,こちらは,戦後の米国録音のものは効果はほとんどありませんが,ウィーン時代のウィーンフィルとのSP録音はこれにより素晴らしい効果が出ました。特に,「ベートーベン:交響曲第6番」と「モーツアルト:セレナード第13番」はこれぞ戦前のウィーンフィルの甘い甘い音楽といった感じで(勿論,私は戦前のウィーンフィルのコンサートなんて聴いたことはありませんが),ウィーンフィルの美しさを堪能できるようにないました。
なお,私の場合はグラフィックイコライザーをSP録音やテープ録音の周波性特性の補正と共に,エフェクター類の周波性特性を考慮して設定しています。
このレコードはピアノ,ベース,ドラムのトリオに,フルートまたはバスクラリネットが入るという小編成の録音なので,余計な効果を加えて不自然になるより,モノラルでそのままの方がよいものの,小編成の場合はモノラルのままの方がよいと思います。やはり,大編成のものでないと効果はあまり出ませんし,また,小編成の場合の擬似ステレオ化は+よりーの方が大きいのではないかと思います。
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