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ソフトフォーカス写真として有名なカメラマンとしてはデイヴィッド・ハミルトンがおり,美しい少女達を霧がかかったような感じの写真の中でとらえています(この写真はレンズを冷蔵庫で冷やしておいて,レンズ表面に息をかけて撮影しているのだそうです)。 また,戦前はコダックのベスト判カメラに付いていた1群2枚のレンズ(バルサムで2枚のレンズを接着し,1枚のようになっていました)には,その前にリング状のフードが付いており,それが絞り的な役割を果たしていたので,絞り「開放」でもかなり良い描写だったそうです。しかしながら,ある日本人がそのフードを取り外して撮ると,「開放」以上の絞りとなるために,収差が大きくなり,美しいソフトフォーカス描写となることを発見しました。それは流行となり,それを「ベス単フード外し」,通称「ベス単」と呼ばれました。しかしながら,戦後はベスト判フィルムは発売されなくなったことから,このベスト判カメラからレンズ部を取り外し,35mm一眼レフカメラで使われるようになりました。そして,戦前のカメラで,あるいは,このレンズを一眼レフで撮影した写真は「ベス単ソフトフォーカス写真」と呼ばれるようになリ,ソフトフォーカス写真の代表的なものとなりました。 私は写真を撮り始めた頃(中学2年)からソフトフォーカス写真には興味があり,当時使っていた小西六のレンズシャッター式カメラ「KONICA Auto-S」(レンズ交換はできないものです)用にケンコーのソフトフォーカス効果用フィルターのソフトン,ソフトクロス,フォギー,デュートを購入しましたが,残念ながら期待したような効果は得られませんでした。 私が本格的にソフトフォーカス・レンズが欲しいと思ったのは,上記の歴史を知らない時で,フジの一眼レフカメラ用のパンフレット中に,蓮根のような感じの穴が開いた板をレンズの間に入れることによりソフト描写をするソフトフォーカスレンズ(確か,焦点距離は85mmだったと思います)で撮った写真を見た時だったと思います。ものすごく美しいボケ方の写真で,正しくソフトフォーカスレンズでの「究極の写真」と言うべきものでした。しかしながら,その時は既にリコーの一眼レフを買った後であり,今から考えるとこのソフトレンズはM42マウントでしたので,多分,私のメインカメラのリコーの一眼レフカメラにもマウント変換アダプターを介して付けられたと思いますが,当時は思いもよらないことでしたし,レンズの価格も私には高すぎて,とても買える代物ではありませんでした。 このようにソフトフォーカスレンズはフジとかミノルタとかの一部のメーカーしか作っておらず(後に,ペンタックスも作りました),また,値段も高かったので,私みたいなアマチュア無銭家カメラマンにとっては入手困難でした。 |
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<キヨハラ光学製ソフトフォーカスレンズ>
今から15年程前の1986年に「ベス単風レンズ」としてキヨハラ光学の焦点距離が70mmのものが発売されました。そして,1987年にはもっと焦点距離が短いものということで50mmのものが出ました(また,キヨハラ光学のものとは別に,その後,ケンコーから85mm,45mm及び35mmのものが出ました)。キヨハラ光学が最初に50mmレンズではなく70mmレンズを出した理由は,「ベス単レンズ」は現行の35mmフィルムよりも大きなサイズのベスト判フィルムを使っていた関係で,焦点距離が70mm前後のレンズを使っていたために,それとほぼ同じ焦点距離のレンズということで出したためです。 また,このレンズは絞り値の大小よりピントが変わるために,まず,絞りを決定し,絞りをその値に固定した状態で,ピントを合わせる必要があります。その上,一眼レフのピントグラスでピントを合わせた場合,目の錯覚によりピントが深めになってしまうためにピントを合わせた後に,少し,ピントリングを少し回してピントを浅めにする必要があります。その上,普通はF7位の状態でピントを合わせなければならないので,ピントグラスが非常に暗く,この70mmレンズできちんとピントを合わせることは非常に難しいです。 これに比べれば,まだ,50mmレンズの方が使いやすいです。 |
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左より,VK50R(50mmF4.5),VK70R(70mmF5) | - | ||||||||||||||||||||||||
VK70Rの絞り羽はレンズの前の手でも触れる場所にあり,この保護のためにフィルターを付ける必要があります。しかしながら,この場合は絞りリングがフィルターとレンズの間にあることとなり,絞り値変更はフィルターを外して行わねばならなくなってしまうという欠点があります。 50mmレンズは一般的なレンズと同様な形態です。 |
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<VK50R>絞りF4(開放) | <VK50R>絞りF11 |
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<VK70R>絞りF5(開放) | <VK70R>絞りF8 |
<自作ソフトフォーカスレンズ>
これらのソフトフォーカスレンズ以外に,女性写真用として,市販のものを使ったレンズを2本,作りました。これは写真の周辺部は流れるという欠点がありますが,それがかえって主題の女性を浮き出させる作用があり,非常に美しい描写です 大昔,雑誌「Capa」でソフトフォーカスレンズの自作についての特集があり(この特集は,鏡胴部やヘリコイド部まで自作するものでした),それを参考に女性モデル撮影会専用にソフトフォーカスレンズを作成しました。といっても,作成というほど大仰なものではなくて,基本的には,ケンコーの接写レンズにヘリコイド接写リングとテレプレスを付けたものです。というわけで,特別な技術は全く必要ではなく,誰でも簡単に作れるもので,作り方は以下です。 <必要部品> 1)クローズアップレンズNo.10 直径52mm(ケンコー) 2)49ー52アダプターリング(旭光学工業) 3)52ー49アダプターリング(旭光学工業) 4)リバースアダプターK52mm(旭光学工業) 5)ヘリコイド接写リングK「EXTENSION TUBE K」(旭光学工業) 6)接写リングKセットの「No.1リング」(旭光学工業) 以上を順に組み合わせます。ピントは5)がヘリコイドになっていますので、ここを動かして合わせます。また、明るすぎたり、ボケすぎると感じる場合は1)と2)の間に直径52mmの黒いプラスチックシートに適当な大きさの穴をあけたものを絞りとして入れます。このレンズは画面周辺が流れますが、絞るとそれもかなり消えます。私に場合は直径2cm程度の絞りになっています。 また,それでも周辺部の流れが気になる場合やもっと長焦点レンズが欲しい場合は,「7)テレプレス(ケンコー)」をカメラボデイと自作レンズの間に入れます。この場合は焦点距離が2倍となり,女性モデル撮影会にちょうど適したものとなり(理由は混んでいて手モデルさんに近づけないことが多いためです),また,画面周辺部の流れも気にならなくなりますが,露出時間は4倍となり,また,カメラのファインダー内は暗くなりピントを合わせにくくなります。 ということで,女性モデル撮影会の場合,見栄えも気になりますので, ラバーフード+自作100mmレンズ+ケンコー・テレプレス+リコー:XR-2S 露出はレンズが暗くファインダーから余計な光が入って露出がアンダーになることが多いのと女性写真は露出過度の方が美しく見えることが多いですので,露出倍数を2倍としるためにISO100のフィルムをISO50としてセットしています。 なお,No.10のクローズアップレンズの代わりにNo.5を,接写リングNo.1の代わりにNo.3を使えば,もっと,長焦点のソフトフォーカスレンズを作ることもできます。また,「No3+No5」と2枚のクローズアップレンズで接写リングはNo.3を使用した場合は約130mmのソフトフォーカスレンズとなります。 以上,このレンズは女性写真の場合は、画面の周囲が適当に流れ女性が浮かび上がる形となり、また、ピントも市販のソフトフォーカスレンズよりはるかにあわせやすく、非常に使い易いレンズです。ペンタックス用のアクセサリーをもっている人は作ってみる価値はあると思います。 |
自作レンズ 左:焦点距離約100mm自作レンズ(No.10使用) 中:焦点距離約130mm自作レンズ(No.3+No.5使用) 右:ケンコー製テレプレス(×2) |
左の自作レンズの部品 前列左より,ケンコークローズアップレンズ,黒色プラスチックシートに穴を開けたもの,アダプターリング49-52,アダプターリング52-49。 列左より,マウントリバースアダプター,マウント・ヘリコイド接写リング,Kマウント接写リング(リアキャキャップ付) |
<撮影会での写真>
自作100mmレンズ | 自作100mmレンズ+ケンコー・テレプレス |
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