La Traviata, verdi, 椿姫,Anna Netrebko,Rosanna Carteri, Anna Moffo,, Beverly Sills, Teresa Stratas, Marie Mclaughlin, Shinobu Sato, Tiziana Febbricini, Edita Gruberova, Angela Gheorghiu, Stefania Bonfadelli, Dimitra Theodossiou, Patrizia Ciofi, matsumo,matsumo2,matsumoto,matumoto
English Japanese

Home(gozaru) クラシック音楽の紹介目次 Home(coocan)

ベルディ:歌劇「椿姫」

初回:2006. 6.25
 私はベルディ作曲の歌劇ってあまり好きではありませんが,唯一,「椿姫」のみは大好きで,音声のLP,CDは勿論,映像のVHS,VHD,LD,DVDもかなりの種類を持っています。

 私がこの曲を初めて聴いたのは中学生の時の音楽の時間でした。勿論,その時はクラシック音楽なんて興味はありませんでしたので,何だ,「売春婦の恋」なんてと言う気持ちで,馬鹿にしたことを覚えています。しかしながら,その後,原作の小デュマによる小説「椿姫」を岩波文庫で読み,その素晴らしさに魅せられました。そして,それに従い,この曲の中の「乾杯の歌」や「そはかの人か」等が好きになりました。

 確か,中学3年の頃だったと思いますが,音楽に興味をもつようになり,ステレオの電気蓄音機を購入してもらい,お小遣いにて,EP盤(45回転盤のドーナツ盤)や17cmLPを購入するようになり,その中に,アンナ・モッフォが「椿姫」の主役のヴィオレッタを歌った17cmLPがありました。と言っても,勿論,全曲盤ではなく,ハイライト盤と言うか,抜粋盤でしたが。

 歌劇の場合,音楽は勿論,演技,舞台装置,そして,歌手の容姿というのが重要な要素であることから,音だけで聴くよりは映像を観ながら聴いた方が遥かによいと思っています。しかしながら,この場合の問題は歌手の容姿と年齢で,劇場で観る場合は,座席から舞台までかなり離れており,容姿の細部までは見えませんので,それらをさほど気にする必要はありませんが,映像の場合はしばしば顔のアップがされるために,歌手,特に主役の女性歌手の容姿と年齢が重要になってきます。

 この曲の演出でもっとも有名なものは,1955年のスカラ座でヴィスコンティ監督の演出に寄って行われたものです。この時は,今まで太っていたマリア・カラスが急激なダイエットをしたことにより,非常に美しい容姿となり,歌と共に大評判になったようです。しかしながら,実況録音は残りましたが,演出の方は,映画化を勧められたにもかかわらず,ヴィスコンティ監督が拒否したそうです。

 さて,この曲の第1幕の最後は,アリア「花より花へ」で終わるのですが,ベルディの楽譜では最後の音はあまり高くはないようですが,この曲の効果を上げるために,高い音に変えて歌うことが結構多いようです。例えば,映画「仮面の中のアリア」(ジェラール・コルビオ監督)中のコンクール場面にて,「花より花へ」を歌う場面があるのですが,さすがにコンクール場面ですので,最後は高い音で輝かしく終わります。私はベルディがどのように楽譜を書こうが,歴代の歌手達が行ってきたこの高い音にすることにより,恋に落ちた歓喜が強烈に表現されていると思います。

 なお,この話は映画化も勿論されており,有名なものでは,グレタ・ガルボが椿姫(歌劇ではヴィオレッタだが,原作及び映画ではマルグリット)役を演じた「椿姫」(ジョージ・キューカー監督),「椿姫」を翻案したと言われているナスターシャ・キンスキーの出演作「恋の病い」(ジャック・ドレー監督)があります。
小説「椿姫」の実在のモデル「マリー・デュプレシー」
-
マリア・カラスS)による「椿姫」
グレタ・ガルボ出演の映画「椿姫」(ジョージ・キューカー監督) 松坂慶子による椿姫の扮装(オペラアリアを歌っています)


<「ベルディ:椿姫」の市販された映像一覧>

No. Violetta Data Other
01 <1954>
Movie for TV(Director: Franco Enriquez)

Violetta: Rosanna Carteri
Alfredo: Nicola Filacuridi
Germont: Carlo Tagliabue

Conductor:
Orchestra:

Media: VHS
Other: B&W, Mono
5段階評価:C

 画質は何とか観られる位です。カルテッリは,ヴィオレッタ役の容姿とは思えませんが,笑顔が中々いいです。ただし,歌は可も無し不可も無しと言ったところでしょうか。
02 <1968>
Movie(Director: Mario Lanfranchi)

Violetta: Anna Moffo(S)
Alfredo: Franco Bonisolli(T)
Germont: Gino Bechi(Br)

Conductor: Giuseppe Patane
Orchestra: Rome Opera House O.

Media: VHS, DVD
Other: Color, Mono
5段階評価:A

 美人ソプラノとして有名だったアンナ・モッフォが得意のヴィオレッタを歌っているものです。映画ですので,舞台装置,衣装,演技は中々のものですが,アルフレード役のテノールは容姿的に問題ありです。
 この映画を初めて観た時驚いたことは,「そはかの人か」と「花から花へ」の間で,ドレスをパッと脱いで,下着姿になる場面でした。

 第1幕最後の「花より花へ」の最後は輝かしい高音で,歓喜と言う感じを十二分に出しています。
03 <1976>
Filene Center's Live

Violetta: Beverly Sills(S)
Alfredo: Henry Price(T)
Germont: Richard Fredricks(Br)

Conductor: Julius Rudel
Orchestra: Filene Center O.

Media: VHS, DVD
Other: Color, Mono
5段階評価:

 シルズは容姿はいいのですが,笑顔が良すぎて,この役には似合わない感じです。何か,この役を誤解しているように感じました。
04 <1982>
Movie(Director: Franco Zeggirelli)

Violetta: Teresa Stratas(S)
Alfredo: Placido Domingo(T)
Girmont: Cornell MacNeil(Br)

Conductor: James Levine
Orchestra: Metropolitan Opera O.

Media: VHS, LD, DVD
Other: Color, Stereo
5段階評価:A

 ストラータスって,決して美しいとは思いませんが,肺病やみと言う設定が最もそれらしく見える歌手だと思います。

 しかしながら,やはり,この映画での見物はやはりゼツフェレッリ監督の演出で,特に,「乾杯の歌」の映像の回転,「そはかの人か〜花から花へ」の明るい部分と暗い部分を行き来する場面,闘牛士とジプシーの場面はこれ以上はちょっと考えられないと思います。
05 <1987>
Glyndebourne Festival's Live


Villetta: Marie Mclaughlin(S)
Alfredo: Walter MacNeil(T)
Germont: Brent Ellis(Br)

Conductor: Bernard Haitink
Orchestra: London po.

Media: LD
Other:
Color, Stereo
5段階評価:

 マックラフリンの歌は薄いし,ハイティング指揮のオーケストラもサッパリですので,全く魅力が感じられない演奏です。また,演出も最初の方は妙にいやらしいです。
06 <1990>
Tokyo Bunka kaikan Big Hall's Live

Violetta: Shinobu Satou(S)
Alfredo: Roberto alagna(T)
Germont: Robert Frontali(Br)

Conductor: Jack Delacorte
Orchestra: Tokyo po.

Media: VHS, LD
Other: Color, Stereo
5段階評価:

 ヴィオレッタ役の佐藤氏は白いドレスで見栄えは非常にいいですが,歌の方はもう少しと言う感じです。

 第1幕最後の「花より花へ」の最後は,高音になるのですが,完全に輝かしさに欠けています。

 それにしても,このような古典的な演出は,安心して観ることができますね。
07 <1992>
ScalaTheater's Live

Violetta: Tiziana Febbricini(S)
Alfredo: Roberto alagna(T)
Germont: Paolo Coni(Br)

Conductor: Riccardo Muti
Orchestra: ScalaTeater O.

Media: LD
Other:
Colour, Stereo
5段階評価:

 ヴィオレッタ役のフェブリチーニ(S)は,左に写真より遙かに美しい感じです。歌も悪くありませんし,また,指揮もムーティですので,悪くはありません。

 第1幕最後の「花より花へ」の最後は,効果を求めて,輝かしい高音で終わります。やはり,こちらの方が歓喜で終わっていいですね。
08 <1992>
Fenice Theater's Live

Violetta: Edita Gruberova(S)
Alfredo: Neil Shicoff(T)
Germont: Giorgio Zancanaro(Br)

Conductor: Carlo Rizzi
Orchestra: Fenice Theater O.

Media: LD, DVD
Other:
Colour, Stereo
5段階評価:

 演出が非常に気持ち悪いので,どうしても観たい場合は,画面を一切観ないで,音だけで聴くべき録画だと思います。
09 <1994>
Covent Garden Royal House's Live

Violetta: Angela Gheorghiu(S)
Alfredo: Frank Lopardo(T)
Germont: Leo Nucci(Br)

Conductor: Georg Solti
Orchestra: Royal Opera House O.

Media: LD, VHS, DVD
Other: Color, Stereo
5段階評価:

 第1幕の舞台装置はまるで病院の待合室みたいな雰囲気ですが,ヴィオレッタ役のゲオルギューは真っ白のドレスを着ていて,非常に似合っており,それだけでもこの映像を見る価値はあると思います。ただし,その分,歌が若いですが。
10 <2000>
Ahoy's Live

Violetta:
Stefania Bonfadelli(S)
Alfredo: Vicente Ombuena(T)
Germont: Ettore Kim Dong-kyu(Br)

Conductor: Louis Buskens
Orchestra: Netherlands Ballet O.

Media: VHS
Other: Color, Stereo
5段階評価:C

 劇場ではなくて,体育館の中央に大きな四角い舞台を設けたような感じの舞台です。その上,舞台装置は無く,その代わりに椅子を持った沢山の合唱団の人たちが,壁等になっています。

 ヴィオレッタ役のボンファデルリは「若い!」と言う感じですが,音が冴えないこともあり,まだまだと言う感じです。

 第1幕最後の「花より花へ」の最後は,効果を求めて,輝かしい高音で終わります。
11 <2001>
Bunkamura Orchestra Hall's Live


Violetta: Dimitra Theodossiou(S)
Alfredo: Cesare Catani(T)
Germont: Ambrogio Maestri(Br)

Conductor: Isaac Karabtchevsky
Orchestra: Fenice Theater O.

Media: DVD
Other: Color, Stereo
5段階評価:D

 ヴィオレッタ役のテオドッシュウは,やや太り気味の上,素人に毛が生えたような歌い方です。

 第1幕最後の「花より花へ」の最後は,効果を求めて,高音で終わろうとしますが,一気に上がらず,ずり上げていく感じです。
12 <2002>
Giuseppe Verdi Theater's Live


Violetta: Stefania Bonfadelli(S)
Alfredo: Scott Piper(T)
Germont: Renato Bruson(Br)

Conductor: Placido Domingo
Orchestra: Arturo Toscanini Fondazione O.

Media: DVD
Other: Color, Stereo
5段階評価:

 ヴィオレッタ役を演じたボンファデッリは,まるで少女のような雰囲気で,これではとても,人気が高い高級娼婦には見えません。また,2年前よりあごに脂肪がつき,時々,二重あごに見えます。

 また,アルフレート役のテノールは,黒人風の上,にやけた感じで,これではとても純情一途には見えません。

 しかしながら,ゼツフィレッッリによる舞台装置は映画版と同様に素晴らしいです。

 なお,第1幕最後の「花より花へ」の最後は,効果を求めて,高音で終わろうとしますが,一気に上がらず,ややずり上げていく感じです。
13 <2004>
Fenice Theater's Live

Violetta: Patrizia Ciofi(S)
Alfredo: Roberto Sacca(T)
Germont: Dmitri Hvorostovsky(Br)

Conductor: Lorin Maazel
Orchestra: Fenice Theatro O.

Media: DVD
Other: Color, Stereo
5段階評価:

 この曲の映像で,最低の1つだと思います。ともかく,衣装,舞台装置,演出,歌手のいずれもひどすぎます。

 もし,ヴィオレッタがこのようであったら,人気は出なかったでしょうし,高級娼婦と呼ばれることは無かったと思います。ともかく,これでは,場末のフッカーですし,悲恋に観客の同情が集まることは無いと思います。
14 <2005>
Madrid Real Theater's
Live


Violetta: Norah Amsellem(S)
Alfredo: Jose Bros(T)
Germont: Renato Bruson(Br)

Conductor: Jesus Lopez Cobos
Orchestra: Madrid so.

Media: DVD
Other: Color, Stereo
5段階評価:D

 ヴィオレッタ役のアンセレムは,とてもヴィオレッタとは思えませんが,舞台装置は非常に面白いです。しなわち,舞台につながった2部屋があり,そこを行き来すると言うものです。しかしながら,演出は現代衣装で,これではとても「椿姫」とは言えないと思いますし,観ていて少しも面白くありません。

 なお,第1幕最後の「花より花へ」の最後は,効果を求めて,高音で終わりますが,さっぱり効果がありません。
15 <2005>
Salzburg Festival's Live

Violetta: Anna Netrebko(S)
Alfredo: Rolando Villazon(T)
Germont: Thomas Hampson(Br)

Conductor: Carlo Rizzi
Orchestra: Wiena po.

Media: DVD
Other:
Color, Stereo
5段階評価:B

 ヴィオレッタ役のネトレブコはとても肺病やみには見えませんが,「歌う女優」と言う評価通りの達者な演技と強烈な歌です。特に,第1幕で,「乾杯の歌」の前の悲鳴を上げる場面が秀逸です。

 なお,演出は写真の通り,現代的な衣装に,これまた,現代的な演技です。しかしながら,現代衣装の他の演出をみると,こちらの素晴らしさが十分にわかります。
16 <2005>
Zurcher festspile's
Live


Violetta: Eva Mei(S)
Alfredo: Piotr Beczala(T)
Germont: Thomas Hampson(Br)

Conductor: Franz Welser-Most
Orchestra: Zurich Opera House O.

Media: DVD
Other: Color, Stereo
5段階評価:D

 ヴィオレッタ役のメイは,とてもヴィオレッタとは思えません。

 演出は現代衣装で,これではとても「椿姫」とは言えないと思いますし,観ていて少しも面白くありません。

 第1幕最後の「花より花へ」の最後は,効果を求めて,高音で終わりますが,こちらも効果がありません。


Home(gozaru) クラシック音楽の紹介目次 Home(coocan)