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17cmLP(1) -クラシック音楽-

初回:2001. 7. 8

 現在はCD時代となり,その上,postCDというべき新規格のスーパーCDや音用DVD等も発売されるようになり,LPといえば,直径30cmのLPしか思い浮かばないような状況ですが,LP時代にはクラシック音楽関係では17cmLPが1枚450円〜500円で販売されていました。30cmLPが2000円程度した時代ですので,私にとっては500円弱というのはお小遣いでどうにか買える価格でした。そして,この17cmLP両面で30分弱と,ほぼ30cmLP片面分の音楽を聴くことができました(例えば,「モーツアルト:交響曲第35番」や「交響曲第40番」は17cmLP各1枚でした)。そして,30cmLP両面が必要な曲,例えば,「ベートーベン:交響曲第6番」や「チャイコフスキー:交響曲第6番」では2枚組の17cmLPとなりました。私が17cmLPで購入した録音はおそらく30cmLPでも発売されたものだと思いますが,一部,17cmLPのみで発売されたものもあるようです。ただし,17cmLPは回転数は30cmLPと同じ1分間に33 1/3回転ですが,結果的に30cmLPの内側のみを使うというのと同じですので,線速度が30cmLPより小さなことから,ダイナミックレンジはやや小さくなっており,結果的には30cmLPより音質的に劣ると考えられます。ということで,同じ演奏でも30cmLPと17cmLPとでは音が異なるようであり,一般論から言えば17cmLPの方が甘い音になりますので,逆に17cmLPの方がいい音と感じることもあるようです。なお,直径17cmのものでは45回転のEP盤(大きな穴のあいているドーナツ盤と17cmLPと同様の小さな穴のものがあったようです)のクラシック音楽も発売されていたようですが,私は1枚も持っておりません。

 また,LP創世記には,30cmLPの値段が非常に高かったそうで(3000円位したようです),その廉価盤との位置づけで25cmLPが販売されたそうです(1000円?)。しかしながら,「ソノシート」のところで述べさせていただきましたが,「LP本」(「本+LP」の形で発売されたもの)が発売されるようになり,その末期には,本の部分が非常に薄くなった25cmLPがメインのものも出るようになりました。更に,クラシック音楽関係ではありませんが,20cmLPが付いた「レコード本」も発売されました。

 以下に私が好きな17cmのジャケットと思い出っぽいことを書かせていただきました。

左より,30cmLP,25cmLP,20cmLP,17cmLP


<17cmLP>

ジ ャ ケ ッ ト 内        容
Title:シューベルト歌曲集
Player:スゼー(Br),ボールドウィン(pf)
LP No.:日本ビクター SFL-3524

私が最初に購入した17cmLPです。以前も書いたことがありますが,私がクラシック音楽に目覚めたのは中波ラジオのNHK第2放送を聴いていた時に,偶然,放送された放送用のリサイタルの中でシューベルトの「魔王」を聴いた時です。そのあまりの素晴らしさに感動して,この曲が欲しいと思い,買ったものです。しかしながら,ラジオではもっと劇的だったのですが,この録音では極めてサラッとしていたのが不満でした。後から考えると,勿論,名演だと思いますが,その時はそう思ったということです。

なお,収録されていた曲は,「野ばら」,「ます」,「魔王」,「菩提樹」,「辻音楽師」の5曲です。
Title:シューベルト:歌曲集「美しき水車小屋の娘」より
Player:スゼー(Br),ボールドウィン(pf)
LP No.:日本ビクター SFL-3546

上記の事情により,クラシック音楽に目覚めた私が,次に買ったのはシューベルトの歌曲で,この「美しき水車小屋の娘」もその1枚です。演奏は同じくスゼーのものです。軽やかなスゼーの声はお気に入りでした。後に,上記の曲の全曲盤のほか,歌曲集「冬の旅」「白鳥の歌」の全曲盤,そして,シューベルトの他の歌曲が幾つも入ったものも購入しました。

なお,この抜粋盤に収録されていた曲は,歌曲集「美しき水車小屋の娘」からの「さすらい」,「いずこへ」,「いらだち」,「涙の雨」,「しぼめる花」の5曲です。
Title:チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
Player:ブーコフ(pf),フールネ指揮ウィーンso.
LP No.:日本ビクター SFON-2541

この曲は全3楽章で34分程かかる上,第1楽章だけで20分近く必要です。このため,従来は17cmLPに収めることは難しかったのですが,第1楽章の16分間位をA面に,第1楽章の残りと第2・3楽章をB面に入れることにより1枚になったという「長時間盤」です。当然,第1楽章の途中で裏返さねばならないという不都合がおき,その上,レコード溝を狭くしなければならないためにダイナミックレンジも狭くなっているのではと思いますが,それでも私が持っているこの曲の録音の中では最も好きなものです。非常に上品な感じの演奏で,他の録音とは随分異なっています。本当は,第1楽章が切れない30cmLP又はCDで欲しいのですが,未だに見つかったことがありません。
Title:モーツアルト:交響曲第41番
Player:イッセルシュテット指揮ロンドンso.
LP No.:日本ビクター SFX-3503

LP時代は見開きの「豪華ジャケット」というのが流行り,それが17cmLPまで伝染しました。このモーツアルトの交響曲の17cmLPは,布張りの見開きのジャケットで中に8ページに渡る解説が付いていましたが,価格は,他のものが500円なのに,こちらは何と700円もしました。

なお,演奏自体は凡庸なものだと思っています。もっとも,それは私にとっては,モーツアルトの後期の交響曲の中では,この曲はあまり好きな曲でないことにも関係しているのかもしれませんが。
Title:チャイコフスキー:交響曲第6番
Player:ゴルシュマン指揮ウィーンso.
LP No.:キングレコード PP-5059/60

17cmLPの収録時間は片面最大15分位ですので,30分以上の長い曲では当然2枚組になりました。ということで,この曲は17cmLP2枚に,各面につき1楽章づつ収められています。また,ゴルシュマンはあまり日本では評価されなかっ指揮者のようですが(私はこの演奏は凡庸なものだと思っています),欧米では美男子の指揮者として女性にすごい人気があったのだそうです。
Title:モーツアルト:交響曲第40番
Player:バルシャイ指揮モスクワ室内O.
LP No.:日本ビクター SM-2608

17cmLPで交響曲を買い集めていた時の1枚です。これを買って随分たってから,30cmLPでも購入しましたが,こちらの方が30cmLPよりもダイナミックレンジが小さなためか,私には30cmLPのこの曲より17cmLPの方が寂しげな感じで好きです。なお,これの解説はかの宇野功芳氏でしたが,多分,私が氏の名前を聞いた初めての時だと思います。
Title:シューベルト:「死と乙女」の変奏曲/「鱒」の変奏曲
Player:ザグレブSQ.,ルネッセ(pf),オランダSQ.
LP No.:日本ビクター SFON-2529

シューベルトの「弦楽四重奏曲第14番」の「第2楽章」と,ピアノ五重奏曲「鱒」の第4楽章のみを17cmLPに納めたものですが,いずれも素晴らしい演奏です。まさか,これだけで録音したものではなく,他の楽章も含めた1曲として録音したものの一部を17cmLPとしたものであろうということで,30cmLPも探したのですが,なぜか,両曲(両演奏)とも見つかりませんでした。その上,ザグレブSQ.やオランダSQ.の他の録音も見つかりませんでしたし。もしかして,両者とも非常にマイナーな弦楽四重奏団なのかもしれませんが,私の持っている資料ではサッパリわからない状態です。
Title:ベルディ:歌劇「椿姫」ハイライト
Player:プレヴィターリ指揮ローマ歌劇場O.,モッフォ(S),タッカー(T)
LP No.:日本ビクター SCP-3582

中学生の時だったと思いますが,音楽の時間にこの曲を初めて聴きました。その時は「何だ,娼婦の恋じゃあないか」とバカにしていましたが,クラシック音楽が好きになってから聴いた時は素晴らしい曲だと思うようになりました。モッフォは多分,私が初めて意識して聴いたソプラノ歌手だったと思いますが,写真で見る彼女の美しい容姿も非常に魅力的でした。以後,現在まで彼女に忠実な使徒で,彼女の録音した歌劇や喜歌劇の2/3以上は持っていると思います。
Title:フンパーティング:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」抜粋
Player:メルソン指揮チューリッヒ・トーンハレO.,フレーゲル(S),ジョーンズ(S)
LP No.:コンサートホール・ソサエティ SMS-970

「コンサートホール・ソサエティ」レーベルは通信販売専門会社で,その会員になっていないと(会員になると,毎月,新譜情報が送られてきて,買う仕組みになっていたようです)購入することはできませんでしたがしたが,なぜか,池袋の西武デパートには置いてありました。これはその1枚で(他にもシューリヒト指揮やモントゥー指揮の30cmLPを購入しました),この曲自体,私が好きな曲ですので,現在は全曲盤を5種類ほど持っていますが,この17cmLPの方が遙かに美しいと思っています。なお,ジョーンズ(S)って,あのギネス・ジョーンズのことで,若い時はこういう曲も歌っていたのですね。
Title:シューベルト:歌曲集「冬の旅」より
Player:ホッター(Br),ウェルバ(pf)
LP No.:日本グラモフォン SKG-1019

スゼーの後は,フィッシャー・ディスカウによるシューベルトを聴き,そして,ホッターと続きました。私には,また,30cmLPを購入できるお小遣いはない時代でしたので,「冬の旅」の全曲はとても買える状況ではなく,抜粋盤として購入したものだと思います。ホッターといえば,ワーグナーの「ニーベルゲンの指輪」の中のウォータン役が有名ですが,この役の彼は弱々しくて好きではありません。私は彼はシューベルトの歌曲に最も向いていると思っています。


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